今回、ウェブサイト制作(リニューアル)をご依頼いただいたエンドクライアント様ですが、現行のウェブサイトは「Google Site」という、見たことも聞いたこともないサイトを使っていらっしゃって💦
「あまりにもデザインの自由度がなく、事業内容が分かりにくい。内容を整理して一からデザインをやり直したい」ということで、制作のご依頼をいただきました。
Google Siteは、「Google Domein」というGoogleのサービスを利用してドメインを取得していたのですが、このサービスが2023年で終了した際に、自動的に「Squarespace」へ引き継がれたようで、
- ウェブサイトはGoogle Siteで制作
- ドメインはSquarespaceで管理
- 事業用のドメインメールはSquarespaceを介してGoogleWorkspaceで取得
という、特殊な(?)状況で運用されていました。
ちなみに「Squarespace」というのは、WordPressと同じようなCMSです。WordPressに比べると使っている人は少ないかと思いますが、なぜか私の周りには結構いて、、ウェブ制作仲間達に設定のことなどを相談することもあるのですが、毎回「Squarespace??触ったことない・・・。」と言われます😂
ドメイン移管の手順
クライアントが、「Squarespaceは希望して契約したのではないし、使い方もよく分からない。」ということで、デザインを完全に一から作り直すついでに、ConoHa WINGレンタルサーバーを新たに契約し、そこでウェブサイトの運用をすることになりました。
併せて、SquarespaceからConoHa WINGへのドメイン移管を試みました。
ドメイン移管の手順は、ざっと以下の通りです。
ドメインの移管はいままでに経験がなく、調べながら頭を整理するのにかなり時間を費やしました。
- Squarespaceで、ドメインロックとWHOISプライバシー保護を解除する
- Authコード取得を申請する(有効期限が数日から2週間)
- Conoha WINGに移管申請をする(Authコードの入力)
- Conoha WINGでドメイン契約
- 移管承認メールが届く
- 移管完了(3~7日程度かかる)
- ウェブサイト動作確認&メールの送受信テスト
- 問題なければSquarespaceを解約
- WHOISプライバシー保護を再びオンにする
- Google Workspaceの管理画面から、お問い合わせフォームに使用しているドメインのメルアドを、エイリアス(別名アドレス)として登録する。
予期せぬ事が起こってサイトやメールが停止してしまっては大問題なので、chatGPTに聞くだけでは安心できず、コミュニティーの方に教えてもらったりしながら、実際にクライアントの管理画面にログインさせてもらって設定を確認したりしました。
ドメイン移管で大失敗
ですが、、、ここで大失敗を犯してしまいました😢
クライアントとZOOMで繋いで、一緒に進めていったのですが、手順③でAuthコードを取得した後に、Squarespace側で、「ドメイン登録者情報」を編集してしまい、なんと、ドメイン移管ロックがかかってしまいました💦
ドメインをConoHa WINGに移管する際に、WHOIS情報(ドメインの登録者情報)の書き方というのが厳密に決められていて、日本語の場合と英語の場合でそれぞれ、名前や住所の記載の仕方にルールがあります。
✅ConoHa WING: WHOIS情報の正しい形式例
https://support.conoha.jp/w/whoischeck/?btn_id=w-whoisconfigration–related_w-whoischeck
そのルールと、Squarespace側の登録情報の記載方法が異なっていたので、ConoHa WINGで移管申請が却下されないようにあらかじめ登録情報をSquarespace側で編集したのですが、、ドメイン登録者情報などを編集してしまった場合、そこから60日間は移管ロックがかかってしまい、移管手続きを進める事ができません。
なんとなく頭の片隅には入っていたものの、リアルタイムでご案内しながらかなりテンパっていたのもあって、編集のご案内をしてしまった私のミスでした。。
あとからConoHa WINGのサポートに確認したところ、やはり決められたルールに乗っ取って記載するのは必要なので、編集した事自体は、対応としては間違っていなかったようです。
移管後に編集ではなく、あくまでも移管前に正しい記載である必要があり、それがそのままConoHa WINGに反映されるとのことでした。
つまり、、「移管する予定の日より60日以上前に、現在の登録情報を確認し、必要に応じて編集しておかなければならなかった。」ということになります。
なかなかそこまで気が回らなかったのですが、結果的には、途中で一旦移管作業をストップすることになってしまい、クライアントにご迷惑をおかけしてしまいました・・・。
ドメイン移管→とりあえずサイト表示、に方針変換
予想しなかったミスに、すっかり焦ってしまい、お詫びして60日後に仕切り直しということでご理解いただいたのですが、落ち着いて考えたら、「まてよ?ドメイン移管しなくてもサイト公開はできるよね?」ということで、ドメイン移管は後回しにし、とりあえずドメイン管理は現行のまま、サイトだけ表示できるように方向転換ということで、クライアントにご了承いただきました。
ほっとした〜💦
クライアントからは厳密な納期を指定されていなかったのですが、「占い師さんに聞いたら、この日とこの日がラッキーデーと言われた。」と可愛いことをおっしゃるので、ではそれまでに公開準備して、希望の日にSNSで「ウェブサイトをリニューアルしました」と告知しましょう、ということになりました。
以下は、
- 実際に「表示だけ切り替える」ためにやったこと
- 次回、同じ作業をするときに迷わないための整理
を、自分用の備忘録も兼ねてまとめています。
ドメイン移管とサーバー移転の違い
まず混乱しやすいポイントですが、
- ドメイン移管
→ ドメインの管理会社そのものを移すこと - サーバー移転(表示先変更)
→ ドメインはそのままで、サイトの置き場所だけ変えること
今回やったのは 後者(サーバー移転) です。
「ドメイン移管しないとサイト表示を変えられない」
→ これは 間違い です。
ちなみに今回の環境は以下のような構成でした。
- ドメイン管理:Squarespace
- サーバー:ConoHa WING
- メール:Google Workspace
- サイト:静的HTMLサイト
この構成は、DNSを正しく理解していれば問題なく運用できます💡
実際にやった手順(DNS設定)
① Squarespace側のURL転送を削除
Squarespaceの管理画面には
「apex(wwwなし)→ www」などの URL転送設定 が入っていました。
恥ずかしながら、
- URLにwwwがついていないものをapexという
- ドメイン管理で @ (アットマーク)で表示されているのはapexのことを指している
という大前提の知識がなかったので、「apex って???@とは????一体何〜??!」と、最初からかなり混乱しました💦
今までは、URLに、wwwがついているものといないものを、お互いにリダイレクト(転送処理)するには、.htaccessファイルに設定を直接記述するか、サーバー側の管理画面から設定していました。
余計な転送処理が残っているとエラーになりそうなので、この転送処理は後から設定することにして、まず不要な転送設定をSquarespaceから削除しました。
② AレコードをConoHaに向ける
ウェブサイトを表示させるためには、どれとどれを書き換えたら良いのかよく分からず・・・調べたり人に聞いたりして、「AレコードとCNAMEだけを新サーバーに向ける、メール周りの設定は触らないこと。」とアドバイスをいただいたので、その二つの設定にトライ。
DNS設定画面で、
@(wwwなし)の Aレコード- 値を ConoHa WINGのIPアドレス に変更
編集できない場合は、
- 既存レコード削除
- 新規でAレコード追加
という形で対応しました。
Squarespaceの仕様で、Aレコードを直接編集できないようになっていたので、一旦現行のものを削除し、新たにConoHaのIPアドレスを追加しました。
③ wwwの向き先を統一
www が別の場所を向いていると、
旧サイトと新サイトが混在する原因になります。
- www(CNAME)を
@に向ける - もしくは www(A)をConoHaのIPにする
ことで、wwwあり・なしの表示先を一致させました。
wwwあり・なし、http・httpsの扱い
正規URLの方針
クライアント自身が「自分のウェブサイトの正式URLはwwwありか無しか分からない・・・」という状態だったので、「最近の流れから、www無しにしましょう」ということで同意いただいて、www無しを正式URLとして扱うことにしました。
つまり、ユーザーがwwwありでURLを打ち込んで検索した場合も、www無しのサイトにリダイレクトされます。
- 正式URL:wwwなし
- http → https:強制リダイレクト
これらは ConoHa側で一元管理 しました。
- SSL:apex / www 両方有効
- リダイレクト:
- www → wwwなし
- http → https
DNS側では「住所変更」だけに集中するのがポイントです。
メール設定で注意したこと
DNS作業では、
- MXレコード
- SPF / DKIM / DMARC
- Google関連レコード
は 一切触りませんでした。
そのため、
- Google Workspaceのメール
- 既存の受信・送信
には影響なし。
「サイト表示」と「メール」は、
DNS上では分けて考えることができ、今回はメールの送受信に影響が出ないように、メール周りは変更無しです。
「移管せずに表示だけ切り替える」に成功
実際にやった作業としては、
- wwwありなし転送設定を削除
- Aレコードの追加
- CNAMEに、ConoHa WINGのIPアドレス入力
- wwwありなし設定とhttpsへの転送をConoHa WING側で設定
という、とてもシンプルなものでした。
ただ、サーバーやドメイン周りの設定は、ひとつ間違えると、サイトが表示されない、メールやお問い合わせフォームの送受信でエラーが出る、など重大なミスにつながりやすいので、冷や汗をかきました💦
今までにやった経験がないので、調べた結果知った知識が正しいものなのか判断がつかず、周りの先輩方に教えてもらって、大変助かりました。
結果的に、
- サイト表示:問題なし
- SSL・リダイレクト:正常
- メール:影響なし
という状態を作ることができ、ほっとしました!
まとめ:このやり方が向いているケース
今回の方法は、以下のようなケースに向いているかと思います。
- ドメイン移管がすぐできない
- でもサイトだけは早く公開したい
- メールはGoogle Workspaceで継続したい
- クライアントの運用を極力変えたくない
ドメイン移管は「必須」ではない
まずは表示を切り替え、落ち着いてから移管するのも十分アリ。
いや〜、冷や冷やしましたが、新たに勉強になりました✏️
クライアントが理解のある方で良かったです🙏
60日後に移管ロックが解除されたら、続きの設定に関しても続編でまとめておこうと思います。
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